大言論

養老孟司の大言論〈1〉希望とは自分が変わること (養老孟司の大言論 1)

養老孟司の大言論〈1〉希望とは自分が変わること (養老孟司の大言論 1)

雑誌「考える人」で9年間にわたり連載されたものをまとめた「大言論」シリーズ全3巻の内の第1巻。
この人の本は、だいぶ前に古武術の先生と対談したものを読んで以来かな。確かタイトルは「自分の頭と身体で考える」だったここ。この時の本が好印象だったこともあったし、今回出版された大言論シリーズも、いろんなことを考えさせられる内容みたいだったから読んでみようと思った。
前半から中盤にかけては虫取りの話が多くて、思ってた内容と少し違うな〜と思いながら読んでたけど、後半にかけてはその虫の事も絡めながらいろんな問題が語られているので興味深く読めた。

「わかってもらえない」と若者が嘆く。それは「わかってもらえる」という気持ちが、まずあるからであろう。
中略
わかってないのは本人なのだ。「わかってもらえない」その「自分」を、「個性をもったこの私」と思いこむ。それによって、自分を正当化する。そこで欠けてしまうのは、相手にわかってもらう努力である。

どんなにお互いに理解しようと努力したところで、究極的には人は他人を理解できないと俺は思っている。だから努力は必要ない・・・ということはまったくなくて、逆に分からないからこそ、わかってもらおうとする努力・理解しようとする努力は常に必要だと思っている。それが人が誰かと付き合うということだと思うんだけどね。