生きるとは、

生きるとは、自分の物語をつくること (新潮文庫)

生きるとは、自分の物語をつくること (新潮文庫)

最近の俺は本読みモードじゃないんだけどね、先週の水曜日に、本屋の文庫コーナーを何気なく通っていると、表紙右上の小川洋子河合隼雄という文字がパッと目に飛び込んできた。もうそれだけで「買い」だと思って、タイトルも帯も確認せずに買って帰ってきた。
昨日の夜にいろいろ考える事があって、かなり気持ちが沈んでたんだけどね、この本がそこに置いてあるのが目に入ったから、早めに寝る準備をして読み始めた。
帯にはこう書いてある。

奇跡のように実現した二人の出会い、 そして 最後の対話

最後の対談が行われる前に河合先生が亡くなられたので、この対談は未完となっている。まさに最後の対話です。
 
面白いな〜。本を読む気分じゃないのに本屋でこの本に出会って、ちょうど心が弱ってる時にこの本を読むことになるとは。うまいことが起こるもんですね(笑)
 
内容は、小川さんの「博士の愛した数式」を対談の軸として、河合先生の臨床心理士としての体験を交えながら、お互いの物語に対する思いを語り合うというもの。
このタイミングでこの本が読めて良かった。

小川 あまりにも「個」にばっかり執着していると、何か行き詰ってしまうんですね。
河合 そう。「個」というものは、実は無限の広がりを持っているのに、人間は自分の知っている範囲内で個に執着するからね。私はこういう人間だからこうだとか、あれが欲しいとか。「個」というのは、本当はそんな単純なものじゃないのに、そんなところを基にして、限定された中で合理的に考えるからろくなことがないんです。前提が間違っているんですから。
小川 何か大きな流れの中の一部として、自分を捉えるような見方が足りないんですね。