和田秀樹「なぜ、あの人はあんなに無責任なのか―責任感の心理学」

国民の金に群がる官僚・政治家・・・。利益追従に走り安全性を無視し自己保身に走る企業・・・。自分の子供の教育を学校に押し付け、まともに子供と向き合おうとしない親・・・。仕事をしない、払える年金も払わない、借金は返さない、選挙にも行かない・・・。社会の責任を果たそうとしない国民。数え上げればキリがない現在の社会に渦巻く無責任。なぜ人はこんなに無責任なのか?という疑問に答えてくれるよう、期待して読んだ。
この本はまず、無責任社会のさまざまな実態を挙げ、次に日本人の無責任がどのように変化してきたかを、精神病理の理論によって分析し、そして、責任感そのものについて心理学の観点から分析し、個人の中で責任感や無責任の生まれる背景を検証していく。それらを基に、無責任人間や無責任社会からの脱却方を考えていくという形で進められていく。
人が無責任になっていく原因、そうならない為には・・・。さまざまな角度から考え、論理的に説明されていて、全体的に納得できる内容でした。

できもしないこと、期待できないことを並べ立てて、無責任社会を変えるにはどうすべきかを論じても、それこそ無責任になりかねない。現実が可能なものや個人レベルでの問題として、無責任人間からの脱却方を考えていくことが重要だ。(本文より)

まずは、「隗より始めよ」という事ですかね〜。