国のない男
- 作者: カートヴォネガット,Kurt Vonnegut,金原瑞人
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2007/07/25
- メディア: ハードカバー
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あの(ヴェトナム)戦争は百万長者を億万長者にしただけだった。そして、今日の(イラク)戦争は億万長者を兆万長者にしている。いま、わたしはこれを進歩と呼んでいる。
われわれは、本来生命を育むようにできているこの惑星を、原子力エネルギーと化石燃料を使った熱力学的ばか騒ぎによって破壊しているんだ。そしてそんなことは誰もが知っているのに、だれひとり気にしてない現状だ。つまり、みんな頭がおかしいということだ。
アメリカが人間的で理性的になる可能性はまったくない。なぜなら、権力がわれわれを堕落させているからだ。(中略)人間というのは、権力という酒で狂ってしまったチンパンジーなのだ。
こういう多くの冷酷なサイコパスがいまや、アメリカ政府の中枢を握っている。病人ではなく指導者のような顔をして。彼らはいろんなものを統括している。報道機関も学校も。われわれはまるでナチス占領下のポーランド状態だ。
こんな本がベストセラーになっているというのに、相変わらずブッシュは大統領のままで、相変わらず戦争は続いていて、相変わらず環境問題には無関心。まさに狂っている。
ヴォネガットはアメリカのことを書いてるけど、日本の現状もそれほど変わりはない。そんな日本もやはり狂っているんだろう。
この本を本屋で見かけたら、ぜひ「訳者あとがき」を立ち読みして、そして買って読んでみてほしい。